建設業許可の要件を徹底解説

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建設業許可を取りたいとお考えの建設業者様の中には、許可を取るための要件が複雑でよくわからないという方も多いので、この記事では、各工事業種に共通する要件についてわかりやすく解説します。

一般建設業許可と特定建設業許可

以下のような工事を500万円以上(税込)で請け負う場合には、一般建設業許可の許可を、4,000万円以上(税込)で請け負う場合には特定建設業許可の許可を取得する必要があります。

知事許可と大臣許可

営業所がひとつの都道府県のみにある場合には、その都道府県知事の許可を取得することになります。

営業所が複数の都道府県にあれば、国土交通大臣の許可を取得しなければなりません。

ちなみにここでいう「営業所」というのは、登記されている本店や支店が必ず該当するわけではなく、実際に建設工事の請負契約を締結したりするような場所のことですが、それほど規模が大きくない建設業者様であれば、通常の事務所=営業所であることがほとんどです。

東京都では、具体的に以下の基準を満たすものを営業所に該当するとしています。

ア 外部から来客を迎え入れ、請負契約の見積り、入札、契約締結等の実体的な業務を行っていること 

イ  電話(原則固定電話)・ 机・各種事務台帳等を備え、契約の締結等ができるスペースを有し、かつ他法人又は他の個人事業主の事務室等とは間仕切り等で明確に区分されている、個人の住宅にある場合には居住部分と適切に区別されているなど、独立性が保たれていること

なお、本社と営業所が同一フロアである場合、同一法人であるため仕切り等は必要ないが、明らかに支店と分かるよう看板等掲示し、営業形態も別とすること 

ウ  常勤役員等又は建設業法施行令第3条の使用人(支店等において上記アに関する権限を付与された者)が常勤していること 

エ  専任技術者が常勤していること 

オ  営業用事務所としての使用権原を有していること(自己所有の建物か、賃貸借契約等を結んでいること(住居専用契約は、原則として認められません。)) 

カ  看板、標識等で、外部から建設業の営業所であることが分かる表示があること 

東京都都市整備局市街地建築部建設業課発行『建設業許可申請/変更の手引』P.5より引用

建設業許可:許可要件

このように許可を取る際には、大きく分けて6つの要件が定められていて、これらをすべてクリアしていれば許可を取得することができます。

その6つの要件とは、経営管理者、専任技術者、財産的基礎、誠実性、欠格要件、社会保険への加入です。

とは申しましても、これでは何のことかわからないと思いますので、ひとつずつ解説していきます。

建設業許可:経営業務の管理責任者

建設業界の方は「経管(けいかん)」と呼んだりすることが多いですが、常勤役員のうちの最低でも1名が「経営業務の管理者」の要件を満たしている必要があります。

経管には、建設業の経営経験が5年以上あるなど、一定の能力があると認められた人がなることができます。

基本的には経営者やそれに準ずるような立場にいた実務経験に基づいて能力があるのかどうか判断されるのですが、実際に実務経験があるだけではダメで、書類などの資料でその実務経験を証明する必要があり、資料での証明が難しいというケースも多いです。

最も多いのは建設業を営んでいる会社での役員の経験を、登記簿謄本で証明するパターンです。

さらにその会社で建設業を営んでいたことの証明をするのですが、これはその会社が建設業許可を持っていたかどうかによって2つのパターンに分かれます。

建設業許可を持っていたのであれば、証明する期間中に建設業許可を持っていたということがわかる資料(通知書など)で証明します。

もし建設業許可を持っていない会社の場合には、証明する期間分の工事請負契約書や請求書などが必要ですので、かなり大変になります。

また、個人事業の場合は、登記簿謄本はありませんので、確定申告書で証明することになるのですが、5年分となると紛失してしまっていたり、申告漏れがあったりすることも多いので、そうなると一筋縄ではいかなくなってしまいます。

また、建設業を営んでいたことの証明として、こちらも証明する期間分の工事請負契約書や請求書が必要になります。

実務経験の内容や確認資料は、会社なのか個人事業なのかなど条件次第で様々なパターンがありますので、なかなか適切に判断できないというご相談を受けることが多いポイントです。

この点について当事務所では、建設業許可の取得手続きをご依頼された方に最適な方法をご案内しております。

「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力」に関する要件 (建設業法施行規則第7条第1号)

イ 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であること

(1)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者

(2)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた 者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者

(3)建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(イ(2)ではない者)として経営業務の管理 責任者を補助する業務に従事した経験を有する者 ロ 建設業に関する経営体制を有する者(aおよびbをともに置く者)

 a 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者

  (1)建設業に関し2年以上役員等としての経験を有し、この期間と合わせて建設業に関し5年以上役員等又は役員 等に次ぐ職制上の地位(エ参照)にある者としての経験を有する者

(2)建設業に関し2年以上役員等としての経験を有し、この期間と合わせて5年以上役員等としての経験を有する者

b aを直接に補佐する者で、財務管理・労務管理・業務運営の業務経験(オ参照)を有する者 ハ その他、国土交通大臣が個別の申請に基づきイ又はロに掲げるものと同等以上の経営体制を有すると認めた者

建設業許可:専任技術者

業界の方は「専技(せんぎ)」と呼ぶことが多いですが、建設業許可を取得するためには、経管と同様に最低1名必要です。

一般建設業許可の専技になるための要件は、主に3つに分けることができます。

  1. 実務経験10年以上
  2. 指定学科卒業+実務経験(3年以上もしくは5年以上)
  3. 一定の資格保有

1の実務経験の立証については経管とほぼ同様です。

なお、経管と専技は同一人物が兼ねることができますので、1人親方や社長1人だけの

会社でも建設業許可は取得できます。

特定建設業許可の専技になるための要件は、主に4つに分けることができます。

1 許可を受けようとする業種に関して、国土交通省定めた試験に合格した者、または国土交通省が定めた免許を受けた者。

2 一般建設業許可の専任技術者の要件のいずれに該当し、かつ元請として消費税含む4500万円以上の工事について2年以上指導監督的な実務経験を有する者

3 国土交通省が能力を認めた者。

4 指定建設業(土木工事業・建築工事業・管工事業・鋼構造物工事業、ほ装工事業、電気工事業、造園工事業の7業種)は、専任技術者を1級の国家資格者または国土交通大臣が指名した者から専任しなければなりません。

建設業許可:財産的基礎

建設業許可にはお金に関する要件もあり、建設業許可を取ろうとする法人・個人に一定以上の財産がなければいけません。

一般建設業許可の場合には、500万円というのがひとつのラインで、直前の決算の自己資本の額、もしくは建設業許可申請日の1か月以内に発行された残高証明書(融資可能証明書)の額によって判断されます。

まだ1期目が終わっておらず、決算をしていない新設会社の場合には、創業時の資本金の額で判断されますので、建設業許可の取得を目指すであれば資本金を500万円以上にして設立しましょう。

新設会社で創業時の資本金が500万円未満の場合には、決算を済ませている会社と同様に残高証明書などによって判断されます。

特定の場合

  • 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと。
  • 流動比率が75%以上あること。
  • 資本金が2000万円以上あること
形態 資本金の名称
株式会社 払込資本金
合資・合同・合名会社 出資金額
個人 期首資本金
特例有限会社 資本の総額
  • 純資産の額が4000万円以上あること。

建設業許可:誠実性

誠実性と言われると、人間的な誠実さのようなものをイメージしてしまうかもしれませんが、建設業許可においては、工事の請負契約に関して不正・不誠実な行為をしないという意味です。

建設業に限ったことでは御座いませんが、注文者と請負人には信頼関係がなければいけません。

前払いの場合なども御座いますため、注文者の方はもちろんのこと、下請けの方をお守りするためにも、誠実性は重要な要件の一つとなっております。

あまり問題になることはありませんが、建築士法や宅地建物取引業法などの規定に基づいて免許の取消処分などを受けた経験がある場合には詳細な確認が必要になります。

建設業許可:欠格要件

欠格要件とは、該当してしまうと許可が取れないような事項のことです。

例としては、建設業許可の申請にあたって虚偽申請をしていたり、会社の役員や個人事業主が破産していたり、暴力団関係者だったりといったことが挙げられます。

具体的には以下のとおりです。

1  許可申請書若しくは添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、又は重要な事実の記載が欠けているとき。

2  法人にあってはその法人の役員等、個人にあってはその本人、その他建設業法施行令第3条に規定する使用人

(支配人、支店長、営業所長等)が、次の要件に該当しているとき。

  ①破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

  ②精神の機能の障害により建設業を適正に営むに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者(施行規則第8条の2)

  ③不正の手段で許可または認可を受けたこと等により、その許可を取り消されて5年を経過しない者

  ④③に該当するとして聴聞の通知を受け取った後、廃業の届出をした場合、届出から5年を経過しない者

  ⑤建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、又は危害を及ぼすおそれが大であるとき、

あるいは請負契約に関し不誠実な行為をしたこと等により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者

  ⑥禁錮以上の刑に処せられその刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

  ⑦建設業法、建築基準法、労働基準法等の建設工事に関する法令のうち政令で定めるもの、若しくは暴力団員に

よる不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、又は刑法等の一定の罪を犯し罰金刑に処せられ、刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

  ⑧暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(⑨において「暴力団員等」という)

  ⑨暴力団員等がその事業活動を支配する者

建設業法第8条

建設業許可:取得費用

建設業許可申請の手続きをご自身で行う場合には、申請の手数料(役所に納付する手数料)が、新規許可が9万円、大臣許可ですと15万円です。

その他に、各種の証明書の取得費用が数千円程度(役員の人数などで変わってきます)かかります。

また、会社を作る場合には、会社の設立費用として最低30万円程度(株式会社の場合)、許可申請手続きを行政書士に依頼した場合には行政書士への報酬(当事務所の報酬額は一般知事許可新規で税込み149,800円です)が別途必要になります。

建設業許可:必要書類

建設業許可の申請には、かなりたくさんの書類が必要になりますし、自治体ごとに微妙に必要な書類が変わりますので、ここでは当事務所に建設業許可申請の手続きをご依頼いただいた場合にお客様にご用意をお願いする書類について紹介いたします。

まず、法人様の場合ですと、役員の方全員分(個人事業主様であればご本人)の「登記されていないことの証明書」「身分証明書」が必要で御座います。

取得方法ですが、「登記されていないことの証明書」は、法務局で取得できます。「身分証明書」は、区役所、市役所で取得できます。

本籍地を記載しなければ取得できませんので、わからない場合は先に本籍地の記載された住民票を取得し、本籍地を確認の上、「身分証明書」の発行申請をします。

ほとんどの場合、「登記されていないことの証明書」「身分証明書」はお客様から委任状をいただいて当事務所が取得しております。

その他、営業所のお写真、経営管理責任者や、専任技術者の確認書類、保険などの加入状況がわかる書類なども必要になります。

その他、場合により裏付書類などが異なる場合も御座います。

建設業許可:審査期間

建設業許可の審査期間は、知事許可ですと約1か月、大臣許可ですと約2か月です。

ただ、この審査期間は、行政機関の状況や補正の有無などによって伸びることがありますので、可能な限りスケジュールには余裕を持って手続きをとることをお勧めしております。

なお、書類を提出したと言っても審査期間中はまだ建設業許可を取得できたわけではありませんので、500万円以上の工事請負契約を行うことはできませんのでご注意ください。

建設業許可:許可が出たあと

建設業許可が出たあとは、建設業許可業者としての各種義務を負うことになります。

  • 変更の届け出の義務
  • 標識の掲示
  • 帳簿の備付けや保存
  • 営業に関する図書の保存義務
  • 契約締結に関する義務
  • 工事現場における施工体制の義務
  • 下請け代金の支払い期日に関する義務

などが生じます。

また、許可の有効期限は5年間ですので、許可が切れる前に更新の手続きをとらなければなりません。

決算変更届は、事業年度終了から4か月以内に決算変更届を行はなければなりません。

当事務所に建設業許可の新規取得手続きをご依頼くださり、許可取得後に顧問契約を締結していただいたお客様には、必要な手続きのご案内などを随時行い、手続き漏れのリスクを最小限におさえております。

建設業許可の新規取得手続きを当事務所にご依頼いただくメリット

設業許可の手続きをご自身で進めようとしても、なかなか難しいとか、時間が取れないという状況も多いのではないでしょうか。

当事務所では、建設業許可手続きに関するサポート業務を提供中です。

ご依頼いただきますと、

  • 申請書類の作成、役所での書類集めをスムーズに進められる
  • 調べ方すら分からない、手引きを見てもわからないなど、悩まされずに済む
  • ご依頼から最短2日で申請(一定の条件を満たした場合に限ります)
  • 質問やご相談がいつでも無料
  • こまめな進捗報告でお客様を不安にさせません
  • 顧問契約で許可取得後も末永くサポート
  • 融資や補助金についてもサポート

など様々なメリットがあります。

建設業許可/一般/新規/知事 165,000円(税込)
建設業許可/一般/新規/大臣 176,000円(税込)
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